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新型インフルエンザワクチンは打つべきか?~「重篤な副作用」と「重症化リスク」のジレンマ

新型インフルエンザワクチンの接種が始まった。

まずは医療関係者からの接種(10月下旬)に始まり、持病のある人と妊婦(11月上旬)、1歳~小学校低学年までの子ども(12月中旬)、1歳未満の乳児の保護者と優先対象だがアレルギーなどで接種を受けられない人の保護者(年明けから)、その他:小学校高学年、中高校生、持病のない高齢者という優先順位となった。

インフルエンザワクチンについては、以前よりその有効性や有用性について多くの議論があり、接種を受けるかどうかの判断がつかない方も多いだろう。

インフルエンザワクチンは接種後まれに重篤な副作用があり、日本では副作用が社会問題になり、1994年に学童の集団接種が中止に追い込まれた。米国でも1976年に米国陸軍で発生した豚インフルエンザに対してフォード大統領は同年10月に全国的な予防接種プログラムを開始した。予防接種の副作用で500人以上がギラン・バレー症候群(運動神経障害で四肢に力が入らなくなる難病)を発症し30人以上が死亡したため、12月16日にプログラムは中止されたが、それまでに約4000万人が予防接種を受けたが、結局、この時の感染は基地内にとどまって外部での流行は無く、死者は兵士1人だったと言う。
http://ameblo.jp/hope-after-despair/entry-10255423027.html

インフルエンザワクチンの効果に疑問を呈しているのは、母里啓子氏(横浜市衛生研究所所員、国立公衆衛生院疫学部感染症室長、横浜市内の3カ所の保健所所長として公衆衛生の立場から感染症対策の研究に携わる)が有名で、
インフルエンザワクチンは打たないで
今年はどうするインフルエンザワクチン
などの著書がある。

ネット上でも「インフルエンザワクチンは有効だが無用」という意見が多く見られる。

インフルエンザワクチンは有効だが無用
http://www5.ocn.ne.jp/~kmatsu/seijinbyou/148infuruenzawakutinn.htm

私たちはインフルエンザ予防接種について、こう考え、こう呼びかけます!!
http://www.ne.jp/asahi/kr/hr/vtalk/infl_appeal0311.htm

インフルエンザワクチンによるギランバレ-症候群
http://ameblo.jp/seisin-iryo0710/entry-10316075383.html

インフルエンザワクチン無用論の論拠としては

1)インフルエンザワクチンによる免疫効果が不十分
インフルエンザウイルスは、鼻や喉などの粘膜から感染するが、現状のインフルエンザワクチンは皮下注射のため粘膜抗体は生成されず、血中抗体のみとなっているため、感染予防に効果はない。また、病原ウイルスは少しずつ抗原性を変えることが多いが、ワクチンの株選定については、流行予測以上に大量生産に当たっての製造効率重視されることから、十分な効果を発現しない確率が高い。さらに、ワクチンが十分な効果を維持する期間は接種後約2週間後から約5ヶ月と限定されている。また、65歳以上の高齢者や乳幼児には十分な免疫獲得効果がない。

2)長期的な効果では有用性が確認できない
英国の論文によると、A型ワクチンにおいては発症を予防する効果があるものの、複数年の流行を経た罹患率を比較すると、自然感染したグループのその後の発症率が著しく低い(自然感染の方がはるかに免疫獲得効果が高い)ことから、ワクチン接種のみに依存したグループと比較して3回のて累積発症率に差がない。(この英国の論文には反論がある)

3)有用性がないが重篤な副作用が存在
ギランバレー症候群、けいれん、急性散在性脳脊髄炎(ADEM)、肝機能障害・黄疸、喘息発作など。インフルエンザワクチンが原因と疑われるケースでも、明確にワクチンによるものと認定されるケースは非常に少ない。

インフルエンザワクチンがわが国で実施されたのは1950年で、A型の亜型はHoN1であった。ウイルス粒子をホルマリンで不活性化した全粒子ワクチンであり、その後1972年以降副反応を少なくする目的で、さらにエーテルで処理し、脂質部分を除いたワクチンが使用されている。1994年以降は学童の集団接種が中止されたこともあり、全盛期には2963万人分製造されたワクチンが1994年には30万人分に減ったが、1998~2000年には、特養・老健などの老人ホームでインフルエンザの蔓延により死亡者が相次ぎ、社会問題となったため、2001年の年末から65歳以上の高齢者に行政から補助が出されて予防接種が再び普及するようになり、1000~1200万人分が製造され接種者が増加してきた。

1994年の学童の集団接種中止については、群馬県前橋市の医師会が調査した「前橋レポート」をはじめとして、裁判所の判断によりインフルエンザワクチンの有用性に疑問が投げかけられ、またその副作用が社会問題となったことを受けて、厚生省が強制接種から任意接種へと変更している。
前橋レポート
http://www.kangaeroo.net/D-maebashi.html

確かに、インフルエンザによる死亡数の推移を見ても、ワクチン接種率とは相関がないように見えてしまう。
http://www2.ttcn.ne.jp/honkawa/1955.html

しかし、インフルエンザワクチンによる死亡者数としては、「超過死亡数」という概念がある。
http://www.sih.jp/news/kenkou/no28.htm
冬季のインフルエンザ流行年には高齢者等の超過死亡がみられることから、これをインフルエンザによる超過死亡者数と見なすという考え方である。もともと基礎疾患があったり、直接の死因がインフルエンザ罹患後の肺炎だったりした場合、インフルエンザが直接の死因としてカウントされないので、本来のインフルエンザによる死者を推計する方法として用いられている。

この超過死亡から判断すると、インフルエンザワクチンは有効かつ有用であるという意見が主張されている。
http://www.med.osaka-cu.ac.jp/kouei/sub8.htm
http://jsv.umin.jp/journal/v52-1pdf/virus52-1_047-053.pdf

但し、インフルエンザと気温の関係には負の相関があり(気温が低いと風邪を引きやすい)、脳梗塞などの脳血管障害と気温の関係にも同様の相関があることから、「冬季の気温が例年に比べて低い年は、インフルエンザ以外の死亡率も高い」ことが推測され、これを全てインフルエンザによるものと推定するのは、やや飛躍している可能性がある。

気温とインフルエンザの相関について
http://www.kenkou.med.pref.kochi.lg.jp/eiken/shoho/KPHshoho/KPHs5002.pdf

いずれにせよ、現状のインフルエンザワクチンの効果があまり高くないことには異論がないものの、新型インフルエンザ対策として見た場合、血中抗体の生成による重症化防止を主目的とした期間限定の対策として活用し、その後は確実に長期的な効果が見込めるインフルエンザワクチンの開発に期待をしたい。

10年に一度接種すれば効くインフルエンザワクチンが開発中
http://yaplog.jp/ultgear_lasrun/archive/108

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